個人再生とは?

「任意整理じゃ金利が0%になるだけで、月々の支払は厳しいまま…」
「任意整理の5年じゃ返済しきれない!でも、持ち家があるから自己破産は難しい…」

「個人再生」は債務整理の一つで、裁判所を通して今ある借金を減額し、3~5年で返済していく手続きです。

個人再生の特徴としては「原則5分の1程度の借金の減額が可能であり、3~5年の間に支払う事が出来れば残りの借金は免除される」といった仕組みです。

任意整理と違って裁判所で手続きをしなくてはなりませんが、個人再生ではかなりの額の借金を減らせるのがメリットでしょう。

また、自己破産と違って自宅や車などの財産を手放す必要もない為、借入金額が大きく任意整理だと返済しきれない方に当てはまる制度です。

★個人再生の手続きの流れ
個人再生の手続きは裁判所で行います。

管轄の裁判所によって手続きの流れなどに多少の違いがあるので、基本的な「手続きの流れ」について把握しておきましょう。

●基本的な個人再生の手続きの流れ
①申し立て
⇒弁護士・司法書士に委任し、個人再生に必要な書類を裁判所へ提出し、申し立てを行います。

②個人再生委員と面談を行う【※】
⇒申し立てを行うと、裁判所の方で「個人再生委員」を選出します。選出された個人再生委員の方と面接を行いますが、主な面接内容は「申立書の内容確認」となります。内容等に間違いはないか、この面接で確認していきます。
【※】個人再生委員との面接は、裁判所によっては無い場合もあります。

③手続きを開始する【※】
⇒個人再生委員との面接が終わると、個人再生の手続きが決定されます。これで個人再生の手続きが正式にスタートした事になりますが、同時期に積み立てトレーニングなども行っていきます
【※】積み立てトレーニングとは、返済計画に無理はないか、きちんと返済出来る能力があるかを確認する作業です。
このトレーニングは返済計画で出している、同等の返済額を個人再生委員が作成した銀行口座に、おおよそ半年間ほど滞りなく入金していく、というもの。返済のデモストレーション、という表現だとわかりやすいかと思います。

この期間の間に1度でも入金遅れなどがあった場合、裁判所で「無理な返済計画だ」と判断され、個人再生の手続きが認められなくなってしまいますので注意が必要です。

ただし、積み立てトレーニングが必ずしも行われるかどうかは裁判所の判断になり、その期間も裁判所の判断によります。

④債権額の調査・確定
⇒債権額とは、借金の総額の事を指します。どの位の借金があるか調査をしていきますが、大体は申立書で申告している借金総額で確定する事が多いようです。
また、調査以外にお金を貸している側(消費者金融など)から借金総額の変更などの申し出があった場合は、申し出金額を認定するか否定するかの審議が行われます。

⑤再生計画案を提出する
⇒裁判所で借金総額が確定したら、積み立てトレーニングの状況や現在のあなたが持っている財産の状況などを裁判所に報告しつつ、「再生計画案」という書類を提出します。

⑥提出した再生計画案の意見徴取・または書面で決議を行う
⇒提出された再生計画案を元に、裁判所があなたに対して再生計画案をきちんと実行するかどうかの確認を行います。

⑦再生計画の認可もしくは不認可の決定を確定する
⇒これまで報告されてきた積み立てトレーニングの状況や提出された再生計画案、あなたの意見などを踏まえた上で、再生計画を認可するか不認可とするかの決定が行われます。

再生計画が認められた場合は、認可された1ヵ月後に認可決定が確定となり、個人再生の手続きが終了となります。

⑧認可決定が確定となったら、返済開始
⇒裁判所から認可決定となり、1か月後の確定期間の翌月から返済がスタートとなります。返済計画に則り、手続きで決めていた金額をあなた個人で毎月しっかりと返済していくという流れです。

以上が個人再生のおおまかな手続きの流れになります。
積み立てトレーニングの有無や機関、個人再生委員との面談などは、管轄の裁判所によって対応が異なりますので覚えておきましょう。

また、個人再生の確定が行われるまでにかかる期間は大体半年~7か月程度である事が多いので、裁判所に申請を出してすぐに個人再生の可決が下りる!という訳ではありません。

個人再生だけではなく、任意整理などもそうですが、手続きにはある程度時間がかかる事を頭に入れておいて下さいね。

★個人再生ができない場合
個人再生が出来ない場合をまとめています。

・継続的な収入がなく、裁判所に提出する再生計画に沿った返済計画が難しい方
・借金の総額が5000万円以上ある方
・小規模個人再生のみ、借入先のカード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)の半数以上の反対があった場合は受けられません。
・給与所得者再生手続きの方は、7年以内に、個人再生手続きのハードシップ免責許可決定、給与所得者再生の再生計画認可決定、破産手続き免責決定を受けていると受けられません。

●継続的な収入が無いと個人再生が出来ない
個人再生は任意整理と同じく、収入が無い状態の方は返済が難しいと判断されるので、個人再生が出来ない場合もあります。

一番は正社員として働いている場合だと安心ですが、かと言って正社員じゃないと個人再生を受けるのが難しい、という訳ではありません。

正社員以外だと…
・アルバイト勤務
・個人事業主
・年金受給

の3つの働き方・収入源があると思いますが、それぞれについて説明しましょう。

まず、アルバイトの場合においては、雇用状況にもよる所が大きいです。

例えば、アルバイトでも何年も同じ職場で働いており、それなりの地位(バイトリーダー等)についている方の場合は、「継続的な収入があるもの」として認められます。

ただし、数か月で転職を繰り返していたり、短期雇用のみのアルバイトのみしか行っていない場合は「継続的な雇用と収入がないもの」とみなされてしまう可能性があり、認められない場合もあります。

個人事業主の場合、月の給与にバラつきがある場合もありますが、「3か月に1回の割合で再生計画に順じた返済が出来る」位の収入がある場合、「継続した収入があるもの」と認められます。

年金受給においては生涯に渡って手元に入る収入の一つとして数えられているので、「継続的な収入」であると言えるのですが、年金の種類によって判断も異なります。

年金受給者の場合についての「継続的な収入の判断」については、専門家に判断を仰ぐようにしましょう。

もし、「継続的な収入がない」と判断されるかもしれない場合、状況によっては債務整理の一つである「自己破産」等の手続きを検討された方が良い場合もあります。

●借金総額が5000万円以上ある場合は個人再生は出来ない
個人再生は「借金総額が5000万円以下」の場合に対して有効とされる手続きなので、5000万円以上の借金がある方は「民事再生手続き」といった方法になります。

●カード会社の反対が半数以上の場合は手続きが出来ない(小規模個人再生手続きの場合のみ)
小規模個人再生手続きを行う方の場合のみ、「カード会社(借り入れ先)からの反対が半数以下である事」が条件とされていますが、小規模個人再生手続きを行うには、カード会社の同意が必要になる為です。

もしこの手続きに異議を唱える貸主が半数以上いた場合、手続きを行う事が出来ません。

「じゃあ、もし反対数が半数以上になったら…?」と心配になる方もいらっしゃると思いますが、返済が難しくなった上での小規模個人再生手続きなので、ここで否決されてしまえば「自己破産」になる可能性が非常に高く、実際の所はカード会社にとっても自己破産されるとデメリットしかありません。

それなら元本をいくらかでも返済してくれた方がいい!と考える場合が多いので、あまり心配されなくても問題はないでしょう。

もし否決された場合には、先ほどもお伝えした通り、自己破産での手続きに移行する場合が多いです。

●過去7年以内に個人再生手続きや破産手続きで認可・免責決定を受けている場合は手続き不可(給与所得者再生手続きのみ)
給与所得者再生手続きで個人再生を行う場合、過去7年以内に「個人再生手続きのハードシップ免責許可決定」「給与所得者再生の再生計画認可決定」「破産手続き免責決定」を受けていない事が条件とされています。

もし上記に当てはまる場合は給与所得者再生手続きではなく、小規模個人再生での手続きになります。
※小規模個人再生の場合は申立にこういった制限がない為。

★個人再生のデメリット
任意整理、自己破産と比べてメリットが多いように感じますが、個人再生を行う上でのデメリットはあるのか…こちらでまとめてみました。

●「ブラックリスト」に載ってしまう
個人再生を行った際、あなたの信用情報にその旨の情報が残ります。

この情報は厳密には「いつまで残るか」は定かではないですが、大体5~10年は残ると言われているので、その間は新たな借り入れが出来ません。

ですが、任意整理の場合も同じく信用情報に残るので、新たな借り入れは出来ないという部分は同じです。

違うのが「情報の掲載期間」で、「個人再生=5~10年」に対し、「任意整理=最長5年」という事だけなので、より借金額が大きく返済の目途が立たない方は、個人再生の方がメリットはあるでしょう。

●官報に載ってしまう
官報には個人の裁判内容などが掲載されており、国から発行されている情報誌のような役割を持っていますが、一般の人が目にする事はまずありません。一般的には出回らないものになっています。

個人再生も裁判となる為、官報に「個人再生の手続きをした」として名前と住所などが一緒に掲載されますが、これを定期的に確認している企業は少なく、勤め先や知人に知られてしまうリスクは低いでしょう。

…以上が個人再生を行った際のデメリットです。

任意整理との違いは「官報に載るかどうか」の差だけですが、一般の企業や一般人はまず目にしない物なので、そこから個人再生をしたという事実が知られてしまうという事は、確率としてはかなり低いでしょう。

★小規模個人再生と給与所得者再生について
「個人再生」には2種類あります。それが「小規模個人再生」と「給与所得者再生」です。

どちらも個人再生には変わりないのですが、あなたの就業状況などに応じて選ぶ事が出来るので、2つの個人再生の違いについて見ていきましょう。

●小規模個人再生とは?
小規模個人再生は、アルバイトや個人事業主、年金受給者の方でも「継続的な収入があり、返済計画に基づいてしっかり返済できる」方が対象になります。
基本的に「個人再生」と言われるものは、こちらの方法で手続きする場合が多いのですが、小規模個人再生の場合のみ「カード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)の同意」が必要となっています。

カード会社の半数以上の賛成が得られなければ、この手続きを取る事は出来ません。

例えば、A、B、C、Dの4社から借り入れしている場合です。
・A、B、C社が賛成
・C社が反対
この場合は賛成が過半数以上なので、小規模個人再生の手続きを行う事が出来ます。

もし反対数が過半数以上になった場合は手続きが出来ませんので、自己破産の手続きに移行する可能性が高くなります。

また、手続きを行う場合、給与所得者等再生の場合は「7年の間に同じ手続きを行い再生計画認可決定確定、自己破産の免責決定確定をしている場合」は申立てできませんが、小規模個人再生は特に制限はありません。

●給与所得者等再生とは?
サラリーマンなど、月々の給与が固定されていて、その額の変動が少ない人はこちらの方法になります。

小規模個人再生と違う部分は「カード会社の同意」が不要という部分と、7年の間に個人再生手続きを行って認可決定確定を受けた場合や、自己破産の免責決定確定を受けた場合は申立てが出来ないという部分です。

また、同意は不要ではありますが、小規模個人再生と違い、最低支払額に決まりがあります。

これは同意を得なくても良い代わりに、カード会社の利益を守る為に「最低でも可処分所得の2年分以上の金額は支払う事」と決められています。

この「可処分所得」とは、簡単に言うと「手取り給与」の事です。ようは2年分で得られる給与所得以上は支払わなくてはいけない、という事ですね。

年収300万の人であれば、年収×2年分以上になるので、600万以上は払わなくてはいけない計算になると思います。

この「2年分以上の可処分所得」は高めの金額で設定される事が多いので、支払い金額を踏まえた上で今後、生活に変動が出てくる可能性(結婚や出産など)があり、支払い状況が厳しくなる事が予想されるのであれば、制限のない小規模個人再生の手続きに変更するという手段もありますよ。

★減額される金額について
一番気になるのは、個人再生でどの位借金が減額されるのか?についてだと思いますので、例を挙げて説明していきますね。

●個人再生ではおおよそ5分の1以上の借金が減額される
個人再生は、金利も含めた借金総額の5分の1まで減額出来る方法になります。

ただし、厳密に言うと「借金額に応じて減額」となるので、借金額に応じてどこまで減額出来るのかをまとめました。

・借金総額が100万円未満の場合⇒借金額全額
・借金総額が100万円以上500万円未満の場合⇒100万
・借金総額が500万円以上1500万円未満の場合⇒借金額の5分の1
・借金総額が1500万円以上3000万円未満の場合⇒300万
・借金総額が3000万円以上5000万円未満の場合⇒借金額の10分の1

となっています。

借金が200万でも300万でも、その場合減額されるのは100万円まで、という事になりますね。

ただ、借金総額が大きい方などは個人再生の方がメリットが大きいです。

例えば、借金総額が600万円の場合、任意整理で手続きを取るとなると、この金額を5年で分割するので、月々の支払は10万円ほどになります。

一方個人再生の場合、借金が600万円の場合は5分の1まで減額出来るので、120万円までに減ります。
更にそこから3~5年で分割して支払っていきますが、3年分割だと月々3万円で、5年分割だと月々2万円で済むのです。

この金額を支払う事が出来れば、減額した分の480万円は返済する必要がなくなるので、月々の支払の負担は大分軽くなりますね。

★清算価値について
個人再生は、借金の総額に応じて「最低でもこの位は払って下さいね」という、最低弁済額という返済額が決まっています。
(借金総額が100万円以上500万円以下の場合は、最低100万円を支払えばいいという事で決まっています。)

ですが、厳密に言うと「清算価値」というものも関係してきます。

●清算価値とは一体何?
清算価値というのは、「現在あなたが持っている財産(家や車)をお金に換えた場合の金額」になります。

家や車の他、銀行口座の預貯金や株、保険の戻り金などもこれに含まれます。

このどちらか高い方を「最終弁済額」に決定するので、最終弁済額よりも清算価値が高くなった場合は、そちらが最終弁済額になります。

例えば、借金総額が300万円の方の場合だと、最低弁済額は100万円になりますが、もし車や持ち家・貯蓄があった場合でそれらが合計して200万円の価値があった際、価格が高い方が優先されます。

ですので、最終的に減額されるのは100万円だけで、200万円を返済する流れとなります。

★住宅ローン付きの自宅を残せることと住宅ローン特則について
個人再生は任意整理よりも借金減額のふり幅が大きいのに対し、持ち家や車などの財産を手放さずに済むので、メリットとしてはかなり大きいでしょう。

これは、個人再生手続きを行うにあたり、住宅を残す事が出来る「住宅ローン特則」というものがある為です。

●住宅ローン特則とは?
持ち家がありローンが残っている状況で借金の返済が難しくなった場合、住宅ローンの返済もままならなくなってしまう事が多いと思います。

住宅ローンの返済が滞ってしまうと折角の持ち家を手放さなければならなくなってしまう結果になる可能性が高い為、こうなると生活を維持していくのが難しくなってしまいます。

そうならない為に、持ち家を手放さずに生活を立て直す為の制度として「住宅ローン特則」というものがあるのです。

家は財産の中でも生活の基盤となるものとみなされるので、生活の基盤を失くすという事は、今後の生活を立て直す事が難しくなってしまうと考える事も出来ますよね。

その生活の基盤を失わない為に、住宅ローン特則というものが個人再生には設けられているのです。

任意整理では月々の返済が難しく、かといって自己破産では持ち家を手放さなければならない為それも難しい…といった方は、借金の減額率が大きく持ち家を手放さずに経済を立て直す事が出来る個人再生を選ぶ方が多いです。

★個人再生とは?のまとめ
債務整理の一つである個人再生についてまとめてきました。

任意整理、自己破産、個人再生の3つの方法がありますが、借金額が大きく持ち家があり手放したくはない、でも月々の返済が任意整理では追い付かないという方は個人再生が適しています。

◆個人再生は原則5分の1まで借金を減額出来る
⇒借金額が大きい場合、金利のみをカットする任意整理よりも、借金総額を減らせる個人再生の方が適しています。
◆最低弁済額を3~5年で返済出来れば、残りの残額の支払いは不要になる
⇒600万の借金がある場合は120万円を3~5年で払う事が出来れば、残りの480万は支払わずに済みます。
◆持ち家がある場合、住宅ローン特則があるので手放さずに済む
⇒自己破産は持ち家を手放さなければなりませんが、個人再生は経済状況を再生しながら
持ち家を手放さずに済みます。
◆アルバイト、個人事業主、年金受給者の方でも小規模個人再生で手続きを行える
⇒基本的に「継続した収入があり、返済計画に基づき返済出来る」と認められた場合に手続きを行う事が出来ますが、収入が不安定と言われているアルバイトや個人事業主などの方でも、小規模個人再生なら手続きを行う事が可能です。
◆任意整理は最長5年、個人再生は5~10年信用情報に掲載される
⇒信用情報に掲載される期間は長いですが、どちらの方法も手続きを取る事によって新たな借り入れは出来ないので、借金の総額が大きい場合は個人再生の方がメリットが大きい場合もあります。

借金総額が大きい方、持ち家を手放したくない方、任意整理だと返済が厳しい方は個人再生が向いていますが、「個人再生が出来ない場合」もあります。

①継続した収入が無いと判断された方
②借金総額が5000万円以上ある方
③小規模個人再生のみ、カード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)からの半数以上の同意が必要
④給与所得者再生のみ、過去7年以内に個人再生の手続きで再生計画認可決定や破産手続きの免責決定を受けている場合は手続きが出来ない

特に1番と2番は手続き前の申立ての際に判断する事が出来るので、個人再生を検討されている方は自分自身が当てはまっているかどうか確認してみて下さい。

上記に該当しない方は個人再生での手続きが可能ですので、借金の返済が厳しくなってきたと感じ始めたら、無理をせずに一度弁護士などに相談してみましょう。