任意整理の依頼費用と任意整理の返済は重複しない

「任意整理の依頼費用と任意整理の返済は重複しない」
「任意整理をしたいけど,借金の返済に加えて弁護士にお金を払えるか不安」
「そもそも,借金の返済はいつからするのだろう?」
借金の返済に困っていて,任意整理を検討しつつも,弁護士費用について不安をお持ちの方も,いらっしゃるのではないでしょうか。日常生活を送る中で,弁護士や司法書士といった専門家と関わることはそう多くないです。また,任意整理は,〇〇円と,まるで広告のようにわかりやすく費用が表記されているわけでもありません。そのため,弁護士などの専門家に依頼するのは,なんとなく敷居が高いと感じている方もいるでしょう。また,任意整理後の具体的な借金の返済時期や,返済方法についてイメージしづらいこともあるかもしれません。
そこで,任意整理にかかる費用と,借金の返済方法について具体的に見ていきたいと思います。

★依頼事務所に支払う依頼費用について

ここでは,任意整理の代理人として弁護士を選んだ場合の依頼費用について見ていきたいと思います。依頼費用については,法律上の定めがないため,それぞれの法律事務所によって自由に定めて良いことになっています。多くの法律事務所が,日弁連の定める「債務整理事件処理の規律を定める規定」という基準に則って,依頼費用を定めています。これによると,着手金についての上限規則はありませんが,報酬金については,上限の規則が定められています。つまり,依頼費用については,ある一定の基準があるので,法律事務所によって法外な費用をぼったくられる,なんてことは基本的にはないということです。

●任意整理の費用はいくら?

では,実際に任意整理を依頼するといくらかかるのか見ていきましょう。任意整理の場合,1社あたり3〜4万円が相場になっています。これに加えて,着手金や,成功報酬を支払う必要があります。
着手金とは,任意整理を依頼した時点で,弁護士に支払う費用のことです。法律事務所によっては,着手金がゼロの場合もありますので,事前に確認しておきましょう。次に,成功報酬ですが,一般的に,任意整理によって,減額した借金の返済金額の数10%を支払います。つまり,任意整理をしてみないと,いくら支払えば良いかわからないということです。成功報酬については,基本的に後払いです。このほかに,書面の作成などにかかる事務手数料を請求される場合があります。

★任意整理をすると,借金の返済がストップする

弁護士に,任意整理を依頼すると,代理人である弁護士から,カード会社(クレジットカード会社・銀行・消費者金融)に,受任通知が送付されます。カード会社が,受任通知を受け取ると,借金の取り立てや,返済がストップします。これは,一時的なものであり,任意整理の手続きが始まってから,完了するまでの間に限ります。つまり,任意整理をしている間は,借金を返済しなくて良いということです。

●借金の返済はいつからするの?

では,借金の返済はいつからするのでしょうか?
借金の返済については,任意整理の手続きが完了つまり,和解交渉が成立した時点から見て翌月末や,遅くても翌々月末から支払いを再開することになります。例えば,任意整理の手続きを依頼してから,完了するまでに,平均して3〜6か月かかります。ただし,和解交渉がスムーズにいった場合には,翌月末から借金の返済をしていくというケースも考えられます。一方で,弁護士の対応も時間がかかり,カード会社の応対もスムーズにいかなければ,和解が成立するまでに半年以上かかることもあります。

●任意整理後の借金の返済は,どこに振り込むのか?

任意整理をした後,借金の返済が再開しますが,借金の返済の支払い先についてはいくつかのパターンがありますので,見ていきましょう。
◎カード会社に直接支払う場合
これは,これまで通り借金をしているカード会社に,直接支払うケースです。代理人である弁護士や司法書士が関与することなく,あなた自身で支払いを行っていきます。
◎代理人を通じて,カード会社に返済していく場合
これは,弁護士や司法書士といった代理人を通じて,借金の返済をしていく場合です。あなたは,毎月代理人に返済費用+代行費用を支払い,代理人からカード会社へ支払いをしてもらうという方法です。代行費用とは,代理人を介してカード会社への返済をしていくために必要な手数料のようなものと考えてください。あなたが,直接カード会社へ借金を返済していくことに比べると,費用がかかってしまいます。
借金の返済については,代理人からアドバイスがあり,任意整理後の支払い方法が決まる場合が多いです。どちらの返済方法であっても,支払いが滞ることがないようにしていくことが必要です。

★依頼費用と借金の返済は,重複しないの?

弁護士などの代理人に支払う依頼費用については,一般的に着手金がない場合には,全て後払いで費用を支払うことになります。しかし,任意整理の手続きが完了すると,それまでストップしていたカード会社への借金の返済が再開されます。そのため,弁護士への依頼費用と同時に,借金の返済を行っていかなければなりません。このように,借金が重なってしまうと,任意整理をしたとはいえ,結果的に返済負担は,大きくなってしまいますよね。
そのような状況にならないようにするために,積立金制度というものがあります。これは,カード会社に対する借金の返済が,一時的にストップできる任意整理の手続き中に,依頼費用を積み立てておくことです。

●積立金制度とは?

任意整理の手続き期間は,カード会社への返済がストップするため,その間に弁護士に支払う依頼費用を積み立てておくことを積立金制度と呼びます。これによって,任意整理の手続きを終えた後,借金の返済が重複することがないようにされています。ここでは,積立金制度と呼んでいますが,法律事務所によっては,呼び方が異なる場合もあります。
◎支払いまでの流れは?
弁護士が交渉を重ねて,任意整理の手続きが完了するまでは,カード会社への借金の返済をしなくていいので,その間に弁護士に支払う依頼費用を積み立てておきます。任意整理の手続き後に,積立金と,その他の費用を合わせて支払い,残った依頼費用については,分割で後払いするという流れになります。
◎積立金制度を利用して,カード会社4社に対して,任意整理をした場合についてみていきましょう。
実際に,カード会社4社について,任意整理をした場合,どのように依頼費用を支払い,借金の返済をしていくのか見ていきましょう。
任意整理の費用が,1社あたり32,400円だとすると,総額129,600円の依頼費用がかかります。積立金制度を利用して,カード会社への借金の返済がストップしている間の6か月間を利用して,分割で依頼費用を積み立てていきます。
そうすると,129,600円÷6回払い=21,600円/月となります。つまり,任意整理の手続きが完了するまでに,分割払いで,毎月21,600円の依頼費用を支払っていくことになります。
成功報酬については,別途必要になりますが,依頼費用だけでも任意整理の手続き期間に積み立てておくことができれば,借金の返済が再開しても,ある程度の貯金があると考えられますよね。

★依頼費用を支払えない場合は?

依頼費用は,基本的に後払いで支払います。また,分割で支払うことが可能です。しかし,それでも返済が厳しい場合もありますよね。そのような場合には,どうすればいいのでしょうか。

●弁護士に相談し,分割回数の調整をしてもらう

任意整理を依頼するにあたって,あなたの経済状況は,依頼人である弁護士が十分に理解してくれています。そのため,依頼費用についても,無理のない範囲で支払えるように調整してくれるはずです。分割回数については,法律事務所によって異なりますが,一般的に6〜10回とする事務所が多いです。しかし,状況によっては調整をしてくれる可能性もありますので,相談してみましょう。

●最悪の場合,弁護士が辞任してしまう可能性も・・・

弁護士に相談をして,依頼費用の分割方法を確定したにも関わらず,浪費してしまい依頼費用が払えなくなったりした場合には,弁護士が辞任してしまう可能性もあります。
任意整理は,弁護士の交渉によって,カード会社に借金の返済について和解を求めます。そのため,あなた自身が借金をきちんと返済していく気持ちがないと判断されてしまうと,弁護士も,あなたの任意整理から手を引いてしまう可能性があるのです。そうなってしまうと,任意整理の手続きはできず,新たな代理人を探すところからスタートしなければいけません。
任意整理後は,借金の返済額も減り,経済的に立て直しをしていくための大切な時期です。借金の返済をきちんと行っていくことはもちろんですが,代理人への依頼費用についても,返済を滞ることがないように支払っていきましょう。

★まとめ

・任意整理の場合,1社あたり3〜4万円が相場の費用であり,これに加えて,着手金や,成功報酬を支払う必要がある。
・任意整理をしている間は,借金を返済が停止する。
・借金の返済の再開時期は,和解交渉が成立した時点から見て翌月末や,遅くても翌々月末である。
・任意整理後の借金の返済は,カード会社に直接支払う場合と代理人を通じてカード会社に返済していく場合がある。
・依頼費用については,弁護士に相談し,分割回数の調整をしてもらうことができる。
・依頼費用と借金の返済は,重複する部分があるものの,積立金制度によってある程度貯金をしておくことができる。