任意整理のデメリットは?

「任意整理をすると新しいカードは作れないの?」「任意整理って利息分以外は減らないの?」
「任意整理」は裁判所を通さず、弁護士や司法書士などが、あなたとカード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)の間に入って借金の返済を行う債務整理の方法です。
債務整理は裁判所との専門的な手続きや、その為に雇う弁護士や司法書士の高額な費用がかかるイメージがあると思います。
しかし、「任意整理」は個人再生や自己破産と違い、専門的な手続きが少なく、時間もあまりかからず、安価なため、比較的ハードルの低い債務整理です。
その為なのか任意整理は年間数百万件とも言われています。
ただ債務整理の手段である以上は勿論デメリットが存在します。
その為に任意整理についてしっかりと学んでおく必要があります。

★任意整理のデメリット

●ブラックリストに載ってしまう
任意整理を行うとブラックリストに載ってしまうため、5年程度はお金を借りることが出来なくなります。
この5年というのは信用情報機関が情報を保有する期間です。
信用情報機関は民間の機関で、全国に5社あります。
カード会社はこれらに加盟しており、返済が滞る利用者がいれば、その情報が他のカード会社にもシェアされます。
任意整理を行った場合も、その情報がカード会社間でシェアされ、借金をしていない会社であってもクレジットカードを作ったり、キャッシングをしたりできなくなります。
この期間に滞納せずに返済を続けていけば、5年程度でブラックリストから消えます。
しかし、任意整理後に再度、支払いが遅れてしまったり、滞納してしまう人が多いのも事実です。
返済を滞納すれば、ブラックリストに載る期間も長くなっていきます。

●借金の元本が減らない
任意整理では借金の元本が免除されることはまずありません。
任意整理でカットできるのはあくまで利息分です。
なので個人再生や自己破産と比べると、任意整理が借金に与える効果は薄いかもしれません。
他の債務整理の手続きで見てみると、個人再生は借金総額の約5分の1、自己破産では借金全額を帳消しにできます。
過払い金などが発生していない限り、借金の額が減額されることまでは期待できないでしょう。
あなたの借金額と収入を考えて、どの債務整理が合っているのかを考える必要があります。

●カード会社によっては任意整理に対応してくれない場合がある
一般的に任意整理を行う場合は、まずカード会社からこれまでの取引経過を開示してもらい、これをもとに利息の引き直し計算を行っていきます。
引き直し計算とは違法な利率による利息分やカード会社との間で行われたすべての貸し借りの取引を、すべて見直して利息分を計算し直す作業の事です。
スムーズに取引履歴を開示してくれれば良いですが、カード会社の中には過払い金があるため一部だけ取引経過の開示を行ったり、完済したことを開示しなかったり、または全く要求に応じないといった場合には任意整理を進めるのは困難となります。

●法的拘束力はない
任意整理はあくまでもカード会社と弁護士や司法書士が裁判所を通さずに交渉していくので、そこに法的な強制力はありません。
個人再生や自己破産のように強制的に借金をカットするようなことが出来ず、カード会社が交渉に応じなければ和解が成立しない事があります。
それどころか、カード会社が自分たちが有利になるように利己的な要求をしてくることもあるので、弁護士は屈すること無く交渉しなければなりません。

●安定収入が必要
任意整理後に残った借金に関しては、返済をしていかなければなりません。
つまり、借金額に対して返済していけるだけの収入がないのであれば任意整理は利用できないということになります。
任意整理は基本的に借金がゼロになるわけではありませんので、減額された借金を返済していくための資金が必要となります。
そのため、仕事をしていて安定した収入があるとか、親族が返済するために資金を用意してくれたなど、借金の返済を続けても生活していけることが条件となります。
つまり、任意整理は借金に困っていれば、誰でも出来るというものではないのです。
任意整理をしたところで毎月の返済額が月収を上回っている場合や、返済資金のアテがない場合などは、いくら任意整理をしたいと申し出ても弁護士や司法書士が引き受けてくれることはないでしょう。
任意整理は大体60回払いが和解の基準なので、例えば借金が300万円であれば、毎月5万円づつ返済できる余裕がなければ難しいと言えます。
仮に無茶な返済計画を立てて任意整理をしたとしても、結局は返済できずに自己破産となるケースもあります。
そうなると、それまでの返済が無意味となってしまいます。
そうならないためにも、返済計画は慎重に立てる必要があり、任意整理では返済が難しい場合は借金の金額が大幅に減額される個人再生か自己破産をした方が賢明でしょう。

●過去に任意整理をしているけど2回目は可能?
過去に任意整理で和解をしたものの、その後、やはり返済が困難になってしまうケースがあります。
例えば、「会社での給与が下がってしまった」「家族が病気になって入院費用が必要になった」などの場合には、どうしても和解契約通りに返済できなくなる可能性はあり得るでしょう。
個人再生や自己破産などの裁判手続きとは異なり、任意整理には法律上の規制はないため、理論上は何度でも任意整理をすることは可能です。
しかし現実的には、相手が和解に応じてくれないと任意整理は成立しないため、同じカード会社を対象とした2回目の任意整理は厳しいでしょう。
そもそも任意整理では、相手方のカード会社も妥協できるギリギリのラインで和解契約を結んでいるはずなので、その約束を反故にされた上に、また任意整理で減額してくれ、と頼まれても和解に応じてくれるカード会社は少ないでしょう。

★任意整理の予備知識

●過払い金とは?
なぜ過払い金が発生するのかというと、2010年までの間、「出資法」と「利息制限法」という2つの異なる法律で、それぞれ別々の法定上限金利が決められていたことで、その間に発生していた法的にグレーゾーンの金利帯が生まれたことによるものです。
「出資法」では上限金利が29.2%であるのに対して、「利息制限法」では借金額によって、15%、18%、20%という金利が決められていました。
この「出資法」と「利息制限法」の間の差額がグレーゾーン金利と言われ、2006年の最高裁の判決でこのグレーゾーン金利は無効とされました。
つまり、過払い金とはグレーゾーン金利でキャッシングを利用し、返済していた場合に、法律によって定められた金利より多く払い過ぎていた金利分の事を言います。
2010年には各カード会社が「利息制限法」の金利に統一しましたが、2008年頃まではまだカード会社によっては金利の是正を行っていません。
なので過払い金請求は2008年以前に借金をしていた人を対象としています。
また、過払い金は「完済から10年」で時効となります。
例えば、2011年に借金を開始した人には過払い金は発生しませんが、2008年以前から借金を開始して2011年に完済した人であれば、その時点から10年は過払い金請求が可能です。
カード会社からすれば、過払い金の発生によって、あなたに逆に支払う必要性が出てくるわけですから、取引経過の開示をわざわざしてしまっては損をしてしまうわけです。
しかし、2005年の最高裁の判決ではカード会社は取引履歴を開示する義務があるという判断を下しています。
そのため、取引経過の開示を拒否するカード会社は減少傾向にあります。
それでも、開示を拒否する場合には弁護士が損害賠償も視野に入れながら粘り強く情報の開示を請求する必要があるでしょう。
また、弁護士が開示された情報が正しいのかどうか判断するためにも、依頼する側はどのカード会社から、いつ頃、いくら借りたのかを出来るかぎり伝えておく必要もあります。

●任意整理の全国統一基準
あくまで法的な拘束力のない任意整理なので、「本当に真剣に交渉してくれるのだろうか?」と不安になる人もいるでしょう。
任意整理の件数は、年間で数百万人単位といわれています。
裁判所の司法統計によると、2013年の自己破産の案件数が13万件前後なので、任意整理はその10倍以上の人数が実施していることになります。
毎年これだけの件数の任意整理が行われているとなると、ある程度、弁護士や司法書士にも統一基準(つまり和解条件の目安)が必要になってきます。
例えば、東京弁護士三会では、この任意整理について以下の統一基準が定められています。
1.初回からの全ての取引履歴の開示を請求する
2.利息制限法に基づく引き直し計算で借金額を確定する
3.和解案の提示の際に、遅延損害金や将来利息を付けない
弁護士は和解案をカード会社に提示する際に、最低でもこれらの条件をクリアした上で交渉することが定められています。
あなたが弁護士や司法書士に不安を感じたら、この点を聞いてみるのも良いかもしれません。

★任意整理デメリットまとめ

●ブラックリストに載ってしまう(返済が滞らなければ5年間ほどで消えます)。
●借金の元本は減らない(利息分はカットが可能)。
●カード会社によっては対応してくれない場合がある。
●法的な拘束力はない。
●安定収入(アルバイトなどでも可)が必要。